浄智寺。北鎌倉の隠れた名禅寺
2023/02/28
鎌倉には珍しい鐘楼門や三体の仏像が鎮座する曇華殿、コミカルな七福神の布袋様がいらっしゃり、素朴ですが見所も多くバラエティに富んだお寺です。
深い緑に抱かれた境内が魅力。
鎌倉五山第四位。その権威の通りかつて大いに栄えたお寺ですが、現在は方丈など一部の建物を残すのみです。しかしながらここは文化人が隠遁地にした大自然が残る山内。近隣の著名な禅寺に比べると自然が深く素朴なのが魅力の浄智寺です。
浄智寺の周辺
浄智寺が建つ山ノ内地区は、時の権力であり禅宗を保護した北条氏の所領だったので今でも禅寺たくさん残っています。山を挟んだ隣りは東慶寺。JRの線路を挟んでその向かいには人気の円覚寺があり、有名な建長寺も徒歩数分の場所にあります。
また浄浄智寺の裏山、谷戸の奥には鎌倉大仏や銭洗弁天(ぜにあらいべんてん)など鎌倉人気のスポットを結ぶハイキングコースが伸びていて、この鎌倉でも人気のハイキングコース、葛原岡・大仏ハイキングコースの起点にもなっています。
秋。紅葉の浄智寺
浄智寺から葛原岡ハイキングコースへ続く小径の紅葉。
山に囲まれた浄智寺。山門からハイキングコース方面に山道を上がると、紅葉が色濃くなります。道すがらの自然も美しい。(2021年12月5日撮影)
浄智寺境内の紅葉。
自然の多い浄智寺は紅葉も美しく。鎌倉紅葉散策の穴場となっています。(2019月11月30日撮影)
鎌倉の柿
境内には柿がなっています。日本の原風景、風情があります。(2019月11月30日撮影)
鎌倉の紅葉のオススメは?
鎌倉の紅葉は、例年10月下旬から12月中旬頃までたのしむことができます。
こちらでは、鎌倉トリップ編集部が厳選する鎌倉の紅葉ベストポイントを毎年お届けしています♪
浄智寺のみどころ
浄智寺惣門(高麗門)
「寶所在近」の文字が掲げられた美しき惣門。
池の前には苔むした石の反橋がかけられた、美しき惣門。その脇に鎌倉十井のひとつ「甘露ノ井」があります。
甘露ノ井
鎌倉十井のひとつ。甘露ノ井
浄智寺の山門手前にある井戸。不老不死の効能がある水であったという伝説が残ります。
海に近い鎌倉はの水は塩分の影響を受けておいしくなかったと言われます。数少ないおいしい水を十井や五名水と言われます。
鎌倉十井のひとつ。
浄智寺の鐘楼門
鎌倉では珍しい唐様の鐘楼門
杉林に囲まれた参道は鬱蒼としていて、その先に鎌倉では珍しい唐様の鐘楼門があります。手前の鎌倉石の階段も美しく、すり減った鎌倉石が歴史を刻む古刹の佇まいをみせてくれます。2007年に再建された鐘楼門は「山居幽勝」の額が掲げられ、花頭窓のある上層には1649年(慶安2年)の梵鐘が吊るされています。
曇華殿と木像三世仏坐像
木像三世仏坐像を祀る。紅葉する曇華殿
曇華殿(どんげでん)と呼ばれる仏殿です。本尊は珍しく室町期作の木像三世仏坐像で県指定重要文化財です。(2021年12月5日撮影)
浄智寺本尊。木像三世仏坐像
向かって左から阿弥陀・釈迦・弥勒の各如来で、過去・現在・ 未来の時を代表しています。鎌倉地方に多い衣の裾を台座に長くたらした様式が見どころ。鎌倉仏の特徴をよく表しています。
巨木。コウヤマキ
鎌倉市指定文化財のマキ
仏殿脇のコウヤマキは鎌倉第一の巨木。鐘楼前のビャクシンとともに鎌倉市指定文化財になっています。(2019年11月30日撮影)
木造観音菩薩立像
この観音菩薩は南北朝時代の造り。鎌倉三十三観音の三十一番です。
ひっそり佇む子安観音
裏庭の入り口あたり、観世音菩薩立像の向かいに立つ子安観音。
趣ある茅葺きの客殿
散策路にある書院。茅葺き屋根と庭が美しい。
鎌倉らしい裏山のやぐら
お寺の裏手には谷戸が広がり、鎌倉ならではのやぐらも見ることができます。
客殿から庭への眺め。
書院から庭への眺め。とても風情があります。
宝庵(ほうあん)。北鎌倉の非公開の茶室
浄智寺から3分ほど山道を上がると、左手に宝庵(ほうあん)の美しい苔むした門が見えます。ここは北鎌倉の山中にひっそりと佇む茶室です。(2021年12月5日撮影)
史跡 天柱峰(てんちゅうほう)
史跡 天柱峰(てんちゅうほう)
葛原岡ハイキングコースの最初の休憩ポイント「天柱峰(標高97メートル)」の丘。浄智寺~葛原岡神社間の中間地点の山頂付近です。天柱峰とは中国の元から来日し、浄智寺の住職を努めた「竺仙梵僊(じくせん ぼんせん)」が命名しました。この山頂にある「天柱峰碑(てんちゅうほうひ)」は昭和16年に建立されました。
江ノ島鎌倉七福神、浄智寺の布袋尊
お寺の裏手には谷戸に江ノ島鎌倉七福神のひとり、愛嬌のある布袋尊がいらっしゃいます。この布袋様は鎌倉七福神の一神、思い立ったが吉日!鎌倉の七福神巡りにチャレンジしても面白いかもしれません♪
布袋尊のお腹に触るとご利益があると言われています♪
七福神巡りとは七福神を巡ることで願望成就を達成しようとするものです。この鎌倉にも独自の鎌倉七福神巡りがあり、鎌倉ならではの魅力がたくさんあります。そのうちにひとつがこの浄智寺の布袋様です。
初春。浄智寺の梅
浄智寺の梅
浄智寺の境内の梅。本数は少ないものの、鐘楼門付近には慎み深く梅が咲きます。(2017月4月2日撮影)
浄智寺の梅
浄智寺鐘楼門の梅。(2017月4月2日撮影)
夏。あじさいに彩る浄智寺
浄智寺の参道に咲くあじさい
浄智寺の参道、ピンクのあじさい。(2015月6月21日撮影)
浄智寺の鐘楼門脇のあじさい
浄智寺の鐘楼門脇、白いあじさい。(2015月6月21日撮影)
秋の浄智寺
浄智寺のススキ
浄智寺の鐘楼門脇に伸びるススキ。(2013月10月13日撮影)
浄智寺の秋明菊(シュウメイギク)
浄智寺の庭に咲く秋明菊。(2013月10月13日撮影)
その他浄智寺の四季折々の草花
境内にはコウヤマキの巨木、樹齢140年でかながわの名木百選のタチヒガン(ザクラ)、市天然記念物のビャクシン、ハクウンボクなど。
甘露の井にユキノシタ。
茅葺きの客殿周辺には、ビヨウヤナギ、ボタン、サルスベリ、シュウメイギクなど四季の花が咲き継ぐ。
浄智寺とは
浄智寺が創建された十三世紀の後半の鎌倉は、北条氏がきわめて盛大で禅宗がもっとも栄えた時期です。
1281年(弘安4年)執権として有名な北条時頼(ほうじょうときより)の三男、宗政が29歳で亡くなります。浄智寺は宗政夫人が幼少の師時(もろとき)を開基にして、宗政の菩提を弔うために創建されました。
開山が3名連なるのが、鎌倉では他に例をみませんが、当時は渡来僧が多かった禅宗の雰囲気が垣間見れます。史料が乏しく真相は不明ですが、3人の中で唯一の日本人である「南洲宏海」が、すでになくなっている「兀庵普寧(ごったんふねい)」に開山の名誉を遺贈し、実際には「大休正念(だいきゅうしょうねん)」を据えたのではないかと推測できます。
浄智寺が建つ山ノ内地区は、時の権力であり禅宗を保護した北条氏の所領だったので今でも禅寺たくさん残っています。山を挟んだ隣りは東慶寺。JRの線路を挟んでその向かいには人気の円覚寺があり、有名な建長寺も徒歩数分の場所にあります。また浄智寺は裏手の山へ続く葛原岡・大仏ハイキングコースの起点となっています。
浄智寺も他の禅寺と同じように、境内は山にかこまれ背後の谷戸に深く続き、長い歴史をもったお寺にふさわしい閑寂なたたずまいです。現在では地理的環境と鎌倉五山の伽藍遺構を後世に伝えるため、国の史跡として保護されています。
浄智寺拝観の際に、略記が記載された冊子をいただけます。
浄智寺へのアクセス
所在地: 神奈川県鎌倉市山ノ内1402
アクセス: JR北鎌倉駅 徒歩6分
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浄智寺について
- 拝観料:大人200円
- 拝観時間:午前9:00~午後4:30
- 駐車場:有り
- 公式サイト:臨済宗円覚寺派 浄智寺【公式サイト】
- 山号:金宝山
- 宗派:臨済宗円覚寺派
- 開山:南洲宏海、大休正念、兀庵普寧(ごったんふねい)
- 開基:北条師時(もろとき)
- 創建:1281年(弘安4年)
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浄智寺の観光について
よくある質問
Q. 浄智寺の拝観料はいくらですか?
A. 浄智寺の拝観料は大人200円です。(2019年11月時点)
Q. 浄智寺に駐車場はありますか?
A. 浄智寺には参拝者用の駐車場が複数台分あります。ただし鎌倉街道に面しているため車でお越しの場合は大変混み合いますので、可能な限り電車で北鎌倉の利用をおすすめします。
Q. 浄智寺の見どころはどこですか?
A. 浄智寺の見どころはなんといっても「曇華殿(どんげでん)」です。鎌倉でも珍しい三体の木像仏坐像が迎えてくれます。
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