北条義時(ほうじょうよしとき)と鎌倉
2022/05/28
鎌倉幕府第2代執権、北条義時(ほうじょうよしとき)。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公です。
覇樹。鎌倉幕府の第2代執権
鎌倉幕府の第2代執権。鎌倉殿の13人のひとり。鎌倉幕府初代將軍「源頼朝(みなもとのよりとも)」の死後、鎌倉幕府内で内部抗争を繰り広げるが、鎌倉幕府の最高指導者である執権(しっけん)に上り詰めます。
鎌倉幕府と朝廷の対立が激化すると、後鳥羽上皇より北条義時追討を受け朝敵となりますが、承久の乱にて京都に攻め上り朝廷を制圧し、その御天皇を廃し3人の上皇を配流し、鎌倉幕府の確固たる地位を築き上げました。
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公です。
北条義時(ほうじょうよしとき)の家系
- 父:鎌倉幕府第1代執権 北条時政(ほうじょうときむね)
- 姉:北条政子(ほうじょう まさこ)※源頼朝の正室
- 子:鎌倉幕府第3代執権 北条泰時(ほうじょう やすとき)
- 義弟:鎌倉幕府初代将軍 源頼朝(みなみもと よりとも)
- 甥:鎌倉幕府第3代将軍 源頼家(みなみもと よりいえ)
北条義時(ほうじょうよしとき)と鎌倉の歴史
北条義時の青年期に源頼朝の挙兵がありました。父である北条時政の活躍や梶原景時(かじわら かげとき)の逸話は有名ですが、義時の目立った働きは史実としてありません。
また、源義経(みなもとのよしつね)が活躍したいわゆる源平合戦に義時も参戦していますが、ここでも義時の目立った活躍の史実はありません。つまり、様々な御家人や吏僚が活躍した鎌倉幕府勃興時に、青年だった義時は印象の薄い武将人物であったと言えます。
ところが頼朝の死後、義時の中年期からその活躍は目覚ましいものになります。
第2代将軍「源頼家」の時代に有力御家人による合議制、いわゆる「鎌倉殿の13人」制度にその名を父である北条時政とともに名を連ねます。北条氏と比企氏の勢力争いである「比企の乱」での活躍、和田義盛との勢力争い「和田合戦」を経てこれまでの政所別当に加え、義盛が担っていた侍所別当に着任。これにより政治権力と軍事力を掌握することになり北条時代の基礎を固めていきます。
第3代将軍「源実朝」の暗殺事件後は三浦氏も抑え、より北条家の独裁を強めていきます。頼朝の未亡人である姉・政子の影響力を上手く利用し朝廷との戦い承久の乱を乗り切ります。
結果、義時はかつての「鎌倉殿の13人」の頂点にのぼりつめ、武家社会の基礎、そして北条執権体制を確立しました。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は北条義時が主人公に。小栗旬さんが北条義時役を演じます。
北条義時(ほうじょうよしとき)と鎌倉の史跡
「法華堂跡」北条義時の墓
北条義時のお墓の遺構
北条義時のお墓は鎌倉の西御門にあったとされる法華堂とされています。急な石段を登った広場にその遺構が残っています。吾妻鏡では、源頼朝の法華堂より東の山に新たに当時の権力者である北条義時の法華堂が建てられて葬られたと記録が残っていましたが長くその場所は不明でした。2005年に鎌倉市教育委員会の発掘調査によりその法華堂跡の遺構が発見されました。
- 所在地:鎌倉市西御門2
- アクセス:JR鎌倉駅から徒歩約20分
「覚園寺」北条義時に助言を与えた戌神将
北条義時に助言した戌神将を含む十二神将仏像が拝観できます。
寺僧がガイド付きで境内を拝観してくれるユニークなお寺、覚園寺。8月に執り行われる黒地蔵でも有名ですが、本堂薬師堂には、三尊像を取り巻くように戌神将を含めた十二神将仏像が安置されています。
1218年(建保6年)、鶴岡八幡宮で執り行われた「源実朝(みなみもとさねとも)」の右大臣拝賀式に参加した北条義時は、白い犬の姿を見て気分が優れなくなり、役を辞して退席。その直後、公卿による源実朝暗殺事件が起こります。そして北条義時の代理を努めた中原仲章は、源実朝とともに公暁に暗殺されてしまいました。
この白い犬は、現在覚園寺に安置されている戌神将 (伐折羅大将・ばさらたいしょう)が姿を変えたもので、義時に暗殺の危機を告げたのだと言われています。
- 拝観時間:拝観案内は約50分、午前10時~午後3時
- 拝観料:拝観案内は、大人:500円、小中学生:200円
- 所在地:鎌倉市二階堂421
- アクセス:JR「鎌倉駅東口」4番のりばから京急バス「大塔宮」行き「大塔宮」下車徒歩10分
「宝戒寺」北条氏の邸宅跡
鎌倉幕府執権の北条氏の屋敷跡。宝戒寺
鶴岡八幡宮のほど近く、宝戒寺は北条氏の邸宅だった土地に建立された所縁の古刹です。執権となった北条義時が構えた小町邸は、義時以降は歴代の執権の屋敷とされました。北条氏滅亡後に菩提を弔うために建てられた宝戒寺は、新旧為政者の入れ替わりの象徴とも言えます。
- 所在地:神奈川県鎌倉市小町3-5-22
- アクセス:JR鎌倉駅から徒歩約13分
「極楽寺」藁葺き屋根山門の風情
風情ある茅葺の山門が特徴の極楽寺
北条義時(ほうじょうよしとき)と、その三男・北条重時(ほうじょうしげとき)が開山。文永4年(1267)に忍性を開山に招いた真言律宗の寺で、鎌倉では唯一の真言律宗のお寺。
かつては七堂伽藍と四十九院を持つ鎌倉有数の大寺院でした。施薬院や療病院など医療・福祉施設も設けられ、境内に千服茶臼や製薬鉢が残っています。火災や地震により現在は山門と本堂を残すのみとなっています。
宝物館には釈迦如来坐像(重文)や十大弟子立像(重文)などの仏像が安置されています。
- 所在地:神奈川県鎌倉市極楽寺三丁目6-7
- アクセス:江ノ島電鉄極楽寺駅より 徒歩2分
北条義時をもっと知る
大河ドラマ鎌倉殿の13人には原作はありません。北条義時を題材とした歴史小説はほとんどありませんが、永井路子署「炎環(文春文庫)」がおすすめです。
直木賞受賞作品で初版はなんと1964年刊。鎌倉幕府の創建時にまつわる連作短編。4つの短編では、それぞれ以下の歴史人物が主人公となり、不安定な鎌倉幕府初期の鎌倉武士模様が鮮明に描かれています。
- 「悪禅師」:阿野全成(源頼朝の弟)
- 「黒雪賦」:梶原景時
- 「いもうと」:北条保子(北条政子の妹、阿野全成の妻)
- 「覇樹」:北条義時