【円覚寺】北鎌倉を代表する禅寺。一大観光スポット
2023/05/27
オススメ度:
北鎌倉駅を降りると、そこは円覚寺。
鎌倉五山第二位のその格通りいまもなお鎌倉有数の巨刹で、北鎌倉では建長寺に並ぶ観光スポットで人が絶えません。
見ごたえのある印象的な三門は、夏目漱石「門」の舞台にもなりました。
開基は鎌倉時代の名執権、北条時宗(ほうじょう ときむね)。モンゴル帝国(元)の侵略戦争「元寇」に際し、戦没者の菩提を弔うために1282年(弘安5年)に開かれたお寺です。
国宝の舎利殿や洪鐘(おおがね)、季節の花々、座禅会も随時開催され見どころ満載のお寺。(2022年6月12日撮影)
円覚寺のあじさい
北鎌倉を降りわずか1分の円覚寺。周辺には明月院など鎌倉を代表するあじさいスポットがありますが、円覚寺ではそれほど混雑することなく広い境内であじさいを鑑賞できる隠れスポットです。写真は円覚寺仏殿の裏のあじさい(2022年6月12日撮影)
洪鐘(おおがね)に向かう石段脇のあじさい(2022年6月12日撮影)
北鎌倉エリアとは
鎌倉の中心部から山ひとつ隔てられた北鎌倉。かつては山間の辺鄙な地でしたが北条泰時により巨福呂坂が開かれると様子が一変しました。
鎌倉五山制度が創設され、鎌倉五山第一位の建長寺や鎌倉五山第二位の円覚寺、鎌倉五山第四位の浄智寺など臨済宗の名刹が次々に創建され、京都の貴族文化とは一線を画す東国武家政権独自の仏教文化が花開いていきました。
現在はJR北鎌倉駅を利用すれば禅寺散策にベストなロケーションです。JR鎌倉駅周辺とは一線を画し独特なのどかな鎌倉らしい雰囲気が人気のエリアです。
円覚寺のみどころ
円覚寺の総門。北鎌倉の玄関
北鎌倉を降りわずか1分、すぐに円覚寺の総門が現れます。普段は北鎌倉の待ち合わせポイントとして大いに賑わうほか、秋になると門前は鎌倉でも有名な紅葉スポットであり、多くの観光客が吸い込まれていきます。
山門。円覚寺のシンボル
総門から石段を上がると堂々たる山門が現れます。円覚寺を象徴する建造物です。1783年に再建。「円覚興聖禅寺」の額は伏見上皇(書道の伏見院流の祖)によるもの。
この門は三解脱さんげだつ(空くう・無相むそう・無願むがん)を象徴するといわれています。煩悩を取り払い涅槃・解脱の世界である仏殿に至る門とされています。
仏殿の宝冠釈迦如来
絢爛な装飾。威風に満ちた佇まい
仏殿に鎮座する巨大な本尊、宝冠釈迦如来(ほうかんしゃかにょらい)。宝冠と胸飾りをまとうおごそかな姿は圧巻です。頭部のみ鎌倉時代の作品。胴体は焼失し江戸初期に補造。華厳経の世界を説く姿から華厳の釈迦(盧遮那仏)とも言われています。
堂外からも見えるその姿は近づくとその大きさに圧倒されます。遠く方はいかつく見える表情ですが、近くで拝見すると張りに満ちた慈しみをたたえた美しいお顔です。
通形の釈迦仏とはずいぶん異なり、髪を頭上で大きく結び、宝冠と胸飾りとつけた姿で、一般的に宝冠釈迦如来と呼ばれる姿です。おそらくは金色の装身具をまとう宇宙的なスケールで元寇後のこの国を荘厳したい、そんな北条時宗の思いが込められていたと想像できます。脇侍は梵天と帝釈天。
仏殿の白龍の図
仏殿内を見上げると圧巻の白龍図が。文化勲章受章者の前田青邨監修、守屋多々志揮毫作の三爪の龍図です。
円覚寺の仏殿
宝冠釈迦如来が祀られている建物。
円覚寺にちらほら見れる三角形のマークは「三つ鱗」。鎌倉幕府の執権家、北条家の家紋です。
仏殿前の美しい柏槇(ビャクシン)の古木。
円覚寺の方丈(ほうじょう)
美しい庭園を持つ方丈。中に上がることもできるので円覚寺の中でも人気の場所です。本来、方丈は住職の居住区画ですが、「宝物風入」をはじめとする各種イベントの多目的ホールのように使用されています。
唐門(からもん・勅使門)
1839(天保10年)建立の方丈の正門である唐門。屋根の形が弓を横ししたような形ですがこれを「唐破風(からはふ)」といいます。松と鳥、獅子と像、扉には龍、雲、波濤など見事な彫り物が見られます。
百観音霊場
円覚寺方丈前のこの百観音霊場は、江戸時代、拙叟尊者が境域に岩窟をうがって百体の観音像を祀ったことに由緒として、その後明治時代に今北洪川禅師が整備しました。
居士林
禅を志す在家の座禅道場。「居士」とは一般の在家修行者のことで、広く一般の人向けに坐禅会が催されています。牛込にあった柳生流の剣術の道場であったものを昭和3年に寄進され移築しました。
居士林ではオンライン座禅会を実施しています(2022年6月時点)。
詳細は「居士林主事よりオンライン坐禅会のご案内」をご確認ください。
選仏場
選仏場とは坐禅道場のこと。1699年に建立。いまは運慶派の南北朝時代の作品と言われる薬師如来が安置されています。(2022年6月12日撮影)
妙香池(みょうこうち)
虎頭岩が印象的な国史跡名勝
門前の白鷺池と同様、創建当時から存在する方丈池。1335年(建武2年)の境内絵図にすでに描かれている池です。ほぼ方形の池の景観の中心にある岩は「虎頭岩(ことうがん)」と呼ばれています。この谷を切り開いた際に露出した岩盤をそのまま残したもので、むき出しになった地層の重なりが虎模様に見えます。(2022年6月12日撮影)
舎利殿(しゃりでん・国宝)
鎌倉で唯一の国宝
舎利殿は、鎌倉唯一の国宝建造物。源実朝が宋の請来した「佛牙舎利」というお釈迦様の歯が祀られています。(2022年6月12日撮影)
普段は一般公開していませんが、年に一度風入れの時には公開されます。
白鹿洞(びゃくろくどう)
円覚寺の創建時、無学祖元の法話を聞くために山から白鹿が降りてきたと言われています。(2022年6月12日撮影)
法堂跡
円覚寺の仏殿の背後の林には、法堂(はっとう)があったとされています。(2022年6月12日撮影)
洪鐘(おおがね)【国宝】と弁天堂
仏殿の脇の山に続く急な石段を上がると、洪鐘(おおがね)と弁天堂を見学することができます。なによりも一息できる弁天茶屋がオススメです♪
洪鐘弁天堂茶屋
鎌倉の景色を眺望できる弁天茶屋で一休み。
洪鐘(おおがね)と弁天堂を見学のご褒美。なによりも一息できる弁天茶屋がオススメです♪130段ほどある石段をあがるので良い運動にもなります。
白鷺池(びゃくろち)(国史跡名勝)
横須賀線の線路を挟んだ白鷺池。線路の開通により断絶してしまいましたがここも円覚寺の敷地です。池の名は建長寺開山の蘭渓道隆と北条時宗が円覚寺建立の適地を探していた時に、鶴ヶ岡八幡宮の神霊が白鷺に化身してこの池に舞い降りたという故事に由来しています。
円覚寺のお土産も忘れずに
総門の先には社務所があり、御朱印はもちろん充実したお土産物屋さんがあります。御朱印帳の種類も豊富ですよ♪
季節の円覚寺。春夏秋冬
総門の紅葉。北鎌倉の秋の風物詩
北鎌倉を代表する秋の景色。横須賀線からも見える見事な門前の紅葉は、鎌倉で最も早く紅葉の季節を知らせてくれます。(2020/11/30撮影)
総門脇の桜。北鎌倉の春の風景
総門脇に咲く桜。横須賀線からも見ることができます。(2014/4/5撮影)
円覚寺とは
鎌倉の北の玄関口、JR北鎌倉駅に降りた時、そこはすでに円覚寺なのです。富国強兵の時代である明治時代、軍港であった横須賀と東京を結ぶために円覚寺を分断して横須賀線が敷設されたのです。
下り線ホームから臨時改札口を降りてすぐ左手にある総門に向かう観光客が多いですが、円覚寺をしっかり味わうには正面口から鎌倉街道に出て、境内と分断され白鷺池(びゃくろち)に廻ってみてください。円覚寺創建にまつわる伝説を残す池で、こんなところにも境内の面影が残されています。
さて、円覚寺の入り口となる総門を登ると、杉の木々が賑やかな駅前の俗と禅の世界の空気に変えてってくれます。
北鎌倉のシンボルにふさわしい、とても美しい山門。夏目漱石の「門」にも登場する円覚寺を代表する建築物ですが、漱石は以下のように表現しています。
”山門を入ると、左右には大きな杉があって、高く空を遮っているために、路が急に暗くなった。その陰気な空気に触れ口つくなた彼は、始めて風邪を意識する場合に似たた時、宗助は世の中と寺の中との区別を急に覚った。(夏目漱石「門」から引用)
円覚寺の歴史
円覚寺は鎌倉五山の第二位に列する鎌倉を代表する大寺です。
その歴史は13世紀後半、鎌倉時代中盤に遡ります。
鎌倉幕府第八代執権・北条時宗(ほうじょうときむね)が直面した文永の役、弘安の役(いわゆる元寇)での日本軍、そして元軍、両軍の戦死者を弔うために創建したのがこの円覚寺なのです。
鎌倉幕府滅亡後にも、後醍醐天皇の外護により繁栄を続け、最盛期には42院の塔頭を備えていたといわれています。
度重なる震災や火災に見舞われましたが、その都度、北条氏や鎌倉公方足利氏満、関東管領上杉氏らの支援により再建されました。
宋の禅寺様式で七堂伽藍がほぼ一直線に並ぶ建築物の配置ですが、ほとんどは室町かた江戸時代に整えられたもので、現在は17の塔頭を擁する規模となります。
円覚寺の塔頭
佛日庵(ぶつにちあん)
北条時宗の廟所
佛日庵(ぶつにちあん)は、鎌倉幕府8代執権、北条時宗(ほうじょう ときむね)の廟所です。拝観料は別途100円。中の茶室「烟足軒(えんそくけん)」ではお抹茶を楽しむことができます。(2012年7月15日撮影)
如意庵(にょいあん)・お寺カフェ安寧(あんねい)
如意庵(にょいあん)は、第三十六世無礙妙謙(むげみょうけん)の塔所。現在は至極のお寺カフェ、「安寧(あんねい)」として営業しており、円覚寺散策の休憩ポイントとして上質な時間を過ごすことができます。
黄梅院(おうばいいん)
黄梅院(おうばいいん)は、第15世夢窓疎石(夢窓国師)の塔所。円覚寺の最奥に位置し、山を背負ってとても緑深き場所です。
寿徳庵(じゅとくあん)
寿徳庵(じゅとくあん)は、第66世月潭中円 (げったんちゅうえん)の塔所。一般には非公開です。
松嶺院(しょうれいいん)
松嶺院(しょうれいいん)は、第150世叔悦禅懌(しゅくえつぜんえき)の塔所。
桂昌庵(けいしょうあん)
桂昌庵(けいしょうあん)は、第49世承先道欽(しょうせんどうきん)の塔所。円覚寺に入ってすぐ右手にあるこの庵は、十王堂、閻魔堂とも呼ばれ、弓道の聖地でもあります。
円覚寺の案内図
鎌倉有数の広大な境内を持つ円覚寺。
円覚寺へのアクセス
北鎌倉駅。降りたらそこは円覚寺です。
東京方面から北鎌倉駅についたらそのままホーム上にある臨時改札へ。徒歩30秒で円覚寺の総門に到着です♪
円覚寺の総門から北鎌倉駅の改札を臨む。
- 神奈川県鎌倉市山ノ内409
- アクセス:JR北鎌倉駅 徒歩1分 ※アクセス抜群のお寺です
円覚寺の座禅(ざぜん)会
早朝座禅で一日のはじまりを清々しいものに。現在はオンラインでの坐禅会も開催中。
暁天座禅会(仏殿)
毎朝(年始・10月初旬に休会あり)
夏季(4月~10月):午前5:30~6:30
冬季(11月~3月):午前6:00~7:00
日曜説教会(方丈)
毎月第二・第四日曜日:午前9時より法話、引き続き11時まで座禅
土曜座禅会(居士林)
毎週土曜日(8月は休会)
初めての方:午後1:20~2:20
二回目以降の方:午後2:40~3:40
※15分前に集合
円覚寺の主なイベント
- 涅槃会:2月15日
- 降誕会(花まつり):4月8日
- 夏期講座:7月下旬 4日間
- 開山忌:10月3日
- 達磨忌:10月5日
- 宝物風入:11月3日頃 3日間
- 成道会:12月8日
円覚寺について
- 所在地:神奈川県鎌倉市山ノ内409
- アクセス:JR北鎌倉駅 徒歩1分
- 拝観時間:3月~11月は午前8時00~午後4時30、12月~2月は午前8時00~午後4時
- 拝観料:大人500円(高校生以上)、小人200円(小中学生)
- 駐車場:駐車場20台分あり ※予約不可
- ホームページ:www.engakuji.or.jp
- ブログ:円覚寺・居士林だより
- 宗派:臨済宗大円覚寺派本山
- 開山:無学祖元
- 本尊:宝冠釈迦如来 ※仏殿にて拝観できます。
こちらもどうぞ。円覚寺周辺の散策記
→【散策記】北鎌倉、上質なお寺カフェを求めて(2015年9月12日)
→【散策記】外国人向け、鎌倉観光スポット(2014年5月17日)
→【散策記】鎌倉の桜を求めて。建長寺の桜(2014年4月6日)
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